AV新法は「メーカーだけの話」ではない — 共演・ハメ撮り・ライブ配信で個人クリエイターが"制作公表者"になり摘発される条件【2026】
「AV新法は大手メーカーの話で、個人配信には関係ない」— その思い込みが一番危険です。AV新法(AV出演被害防止・救済法)の契約書交付義務は、他人を出演させて性的な映像を制作・公表する人=「制作公表者」に課されます。個人でも、共演・コラボ・ハメ撮り・撮影協力者がいれば該当しうる。2025年には海外サイトでの生配信が「契約書を交付しなかった疑い」で全国初摘発(売上約1.15億円)、2026年5月にも別事案(売上約4000万円)が報じられています。現役プラットフォーム運営者が、内閣府の一次情報をもとに「誰に・どんな義務が・いつ立ち上がるか」を整理し、共演で摘発されないための実務チェックまで解説します。
by SMFans Media 編集部

目次(全 21 項目)
- 011. まず結論 — 押さえるべき3点
- 022. きっかけの事案 — 「契約書を渡さなかった」だけで摘発されている
- 033. 縛られるのは「制作公表者」— 個人でも該当しうる
- 044. 個人にかかりうる「5つの義務」
- 055. 「ライブ配信」「ファンクラブ」も射程に入る
- 066. 「ソロの自撮り・自販売」はどうなるのか
- 077. 共演・コラボで摘発されないための実務チェック
- ① 出演者がいるなら「書面」を必ず先に
- ② 「1か月ルール」を運用に組み込む
- ③ 年齢確認・本人確認を記録として残す
- ④ 「制作公表者は自分」という前提で設計する
- ⑤ 迷ったら撮る前に専門家へ
- 13よくある質問(FAQ)
- Q1. 個人クリエイターでもAV新法の対象になりますか?
- Q2. ライブ配信(生配信)でも適用されますか?
- Q3. 何を渡せば「契約書交付」になりますか?
- Q4. 「今日撮って今日売る」はダメなのですか?
- Q5. 違反するとどうなりますか?
- Q6. 完全に一人で撮って自分で売る場合も対象ですか?
- Q7. AV新法は2026年8月に改悪されるのですか?
- 21まとめ
「AV新法は大手メーカーの話」「個人で配信してるだけだから関係ない」 — そう考えている個人クリエイターは少なくありません。ですが、結論から言うと、その思い込みが一番危険です。
AV新法(正式にはAV出演被害防止・救済法)の契約書交付義務は、メーカーかどうかではなく、「他人を出演させて性的な映像を制作・公表する人」=「制作公表者」にかかります。つまり、共演・コラボ・ハメ撮り・撮影協力者がいれば、個人クリエイターでも制作公表者として刑事上の義務を負いうるということです。
しかもこれは机上の話ではありません。2025年には海外サイトでの「生配信」が、出演者に契約書を交付しなかった疑いで全国初摘発され(売上約1億1500万円)、2026年5月にも別の事案(報酬10〜20万円・売上約4000万円)が報じられています。「録画AVだけ」「大金を稼いでいるところだけ」が対象ではありません。
本記事では、現役のアダルトプラットフォーム運営者の視点から、①誰が「制作公表者」になるのか ②個人にかかる5つの義務 ③ライブ配信・ファンクラブも射程に入る理由 ④ソロ自撮りの扱い ⑤共演で摘発されないための実務チェックを、内閣府の一次情報と報道で整理します。
本記事は内閣府男女共同参画局の公式解説・e-Gov 法令・報道・弁護士解説など出典の明確な情報のみで構成しています。一般的な解説であり、個別ケースが法の適用対象になるかの最終判断は弁護士等の専門家にご確認ください。個別の摘発事案は報道時点の容疑に基づきます(書類送検・逮捕段階の事案は確定した有罪ではありません)。
1. まず結論 — 押さえるべき3点
3点だけ先に出します。
- AV新法の契約書交付義務は「制作公表者」にかかる。 制作公表者とは、性的な映像(法律上は「性行為映像制作物」)を制作し公表する者で、会社か個人かは問いません(内閣府男女共同参画局)。
- 他人を出演させた瞬間、あなたが制作公表者になりうる。 共演・コラボ・ハメ撮り・撮影協力など、自分以外の「出演者」がいる映像を制作・公表するなら、書面交付・説明・撮影時期などの義務が立ち上がる。
- 「録画AV」「大手」だけが対象ではない。 生配信でも全国初摘発が出ており(茨城・2025年10月報道)、売上規模も数千万円〜の事案で立件されています。違反は刑事罰(懲役・罰金、法人にも罰金)の対象です。
→ つまり、判断の分かれ目は「メーカーか個人か」ではなく、「自分以外の出演者がいるか」です。以下、なぜそうなるのかを一次情報で解きほぐします。
2. きっかけの事案 — 「契約書を渡さなかった」だけで摘発されている
まず、実際に何が起きているかを事実で確認します。ポイントは、わいせつ物の中身ではなく「契約書を出演者に交付したか」が問われている点です。
| 時期(報道) | 事案の概要 | 問われた義務 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2023年9月 | 出演者に契約内容の書面・契約書を交付していなかった映像制作会社代表に有罪判決(AV新法違反で初の有罪) | 書面交付義務 | 企業法務ナビ |
| 2025年(神奈川で初適用) | 出演女性に書面などを交付しなかった疑いで男を逮捕 | 書面交付義務 | 神奈川新聞 |
| 2025年10月(報道) | 海外サイト「ストリップチャット」で生配信する際、出演女性ら10人に説明書・契約書を交付しなかった疑いで会社と男2人を書類送検(売上計約1億1500万円、茨城県警で同法違反の初摘発) | 説明義務・書面交付義務 | 茨城新聞 |
| 2026年5月(報道) | AV出演女性に契約書を交付しなかった疑いで男を摘発、報酬は10〜20万円、売上は約4000万円と報道 | 書面交付義務 | 読売新聞 |
→ 注目すべきは、「無修正だった」「わいせつだった」ではなく「契約書を渡さなかった」ことそのものが容疑になっている点です。そして生配信でも立件されています。これが、個人クリエイターにとって他人事でない理由です。
3. 縛られるのは「制作公表者」— 個人でも該当しうる
AV新法の義務は、「制作公表者」という立場の人にかかります。内閣府の公式解説では、本法は次のような仕組みを定めています(内閣府男女共同参画局)。
制作公表者:アダルトビデオ(法律上は「性行為映像制作物」)を制作し、公表する者。出演契約の締結・書面交付・説明などの義務を負う。
ここで重要なのは、この「制作公表者」に会社/個人の区別がないことです。自分以外の誰かを「出演者」として性的な映像を撮り、それを販売・配信(公表)するなら、その主体が個人であっても制作公表者になりえます。
よくある誤解が「プラットフォームに上げるだけだから自分は制作者ではない」というものです。しかし、撮影し編集し公表しているのはあなたであれば、配信サイトを使っていても制作公表者はあなたです。内閣府の解説でも、公表をプラットフォーム経由で行う場合、その配信サイト運営者の情報まで契約書に明記することが求められています(後述)。
制作公表者(せいさくこうひょうしゃ):性行為映像制作物を制作し、かつ公表(販売・配信・上映など)する者。AV新法上、出演契約・書面交付・説明・撮影や公表の時期などの義務を負う中心的な立場。
4. 個人にかかりうる「5つの義務」
では、制作公表者になったとき、具体的に何をしなければならないのか。内閣府の公式解説をもとに、他人を出演させる個人クリエイターが押さえるべき義務を5つに整理します(内閣府解説PDF)。
| # | 義務 | 内容(要点) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| ① | 作品ごとの出演契約 | 性行為映像制作物ごとに出演契約を締結する。再編集して別作品として公表する場合も対象 | 第4条第1項 |
| ② | 書面(または電磁的記録)での契約 | 契約は書面か電磁的記録でなければ効力を生じない。メール等の電子データでも可 | 第4条第2項 |
| ③ | 契約書への必須記載(出演契約事項) | 出演する旨/撮影日時・場所/性行為の具体的内容/相手方の特定/公表の方法・期間/公表者の特定/報酬額と支払時期/配信サイト運営者の氏名・所在地等 | 第4条第3項 |
| ④ | 説明義務 + 1か月の熟慮期間 | 契約事項を説明し、書面交付日から1か月間は撮影してはならない | 第5条第1項 |
| ⑤ | 速やかな書面交付 | 契約締結後、速やかに出演契約書等を出演者へ交付・提供する。交付がなければそもそも撮影できない | 第6条・第7条第1項 |
これらに違反した場合、出演者は契約を取り消せるだけでなく、制作公表者には罰則があります(書面交付義務違反は第21条第2号)。弁護士解説によれば、書面交付義務違反・説明義務違反は6月以下の懲役または100万円以下の罰金にあたるとされ、法人にも罰金が科されます(上原総合法律事務所)。
とくに見落としがちなのが ④ の「1か月ルール(熟慮期間)」です。「今日撮って今日売る」は、他人を出演させる場合にはそれ自体が義務違反になりえます。共演動画を思いつきで即撮影・即公開する運用は、構造的にリスクを抱えます。
5. 「ライブ配信」「ファンクラブ」も射程に入る
「自分は録画AVを売っているわけじゃない。ライブ配信やファンクラブだから別」 — これも危険な思い込みです。
前述の茨城の事案は、まさに海外サイトでの「生配信」で、出演者に契約書を交付しなかったことが容疑とされ、AV新法違反として書類送検されています(茨城新聞)。録画かライブかにかかわらず、他人を出演させた性的な映像を公表すれば対象になりうるということです。
ファンクラブ運営の文脈に引き直すと、リスクが立ち上がりやすいのは次のようなケースです。
- 共演者・コラボ相手を撮って投稿する(相手が「出演者」になる)
- ハメ撮り・撮影協力者がいる動画を販売する
- 自分のアカウントで他人を出演させたライブ配信を行う
- 他人が出演した動画を再編集して別作品として公表する(第4条第1項で新たな契約が必要)
→ いずれも「自分以外の出演者」がいる時点で、あなたが制作公表者として義務を負う可能性が出てきます。
6. 「ソロの自撮り・自販売」はどうなるのか
ここはクリエイターの関心が高い一方、断定を避けるべき論点です。
AV新法は、出演者を制作公表者の加害から守るという構造の法律です(内閣府)。出演者と制作公表者が同一人物である完全なソロ自撮り・自販売は、他人を出演させるケースとは前提が異なります。
ただし、「ソロだから一切の法規制が無関係」ではありません。
- ソロでも、映像送信型性風俗特殊営業の届出(いわゆる風営法届出)が必要になるケースがあります(手続きは myfans / Fantia 風営法届出 完全ガイド)。
- 無修正は刑法175条の対象ですし、実在の他人を映り込ませれば名誉毀損等の問題も生じます。
- 「ソロのつもり」でも、画面外の協力者・共演者が実質的に出演していれば、その人との関係でAV新法の論点が立ち上がりえます。
要するに、自分ひとりか/他人がいるかが最初の分岐点です。少しでも他人が関わる映像を扱うなら、AV新法の契約・書面の義務を前提に組み立てるのが安全側の判断です。微妙なケースは、撮影前に弁護士へ確認してください。
7. 共演・コラボで摘発されないための実務チェック
「他人を出演させる可能性がある」クリエイターが、リスクを下げるために最低限押さえる実務を整理します。
① 出演者がいるなら「書面」を必ず先に
口約束やDMの一言で済ませない。契約事項を記載した書面(電磁的記録=PDFやメールでも可)を作り、撮影前に交付します。記載必須項目(第4条第3項)は前掲の表のとおりで、報酬額・支払時期・公表方法と期間・配信サイト運営者情報まで含めます。
② 「1か月ルール」を運用に組み込む
書面交付から1か月の熟慮期間を空けてから撮影する設計にします。スケジュールを「即撮影・即公開」前提で組まないこと。
③ 年齢確認・本人確認を記録として残す
出演者の年齢確認は、児童ポルノ法・刑事リスクの観点でも必須です。本人確認書類で年齢を確認し、記録を保全します(AI生成も含めた違法ラインの整理は AI生成アダルトはどこから違法か)。
④ 「制作公表者は自分」という前提で設計する
プラットフォームに上げているからといって、制作・公表の主体責任が消えるわけではありません。自分が制作公表者である前提で、契約・書面・年齢確認を整えるのが安全側です。
⑤ 迷ったら撮る前に専門家へ
共演・コラボの可否やソロ該当性の判断は、ケースで割れます。撮影してしまってからでは取り返しがつかないため、判断に迷う構図は事前に弁護士へ相談してください。
→ AV新法そのものの「8月改悪の噂」や、実写から直接課金型への収益源シフトについては、AV新法で「もう稼げない」?|噂の真相と次の収益源 で別途整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 個人クリエイターでもAV新法の対象になりますか?
他人を出演させて性的な映像を制作・公表するなら、対象になりえます。AV新法の義務は「制作公表者」にかかり、会社か個人かを問いません(内閣府)。「大手メーカーだけの話」ではありません。
Q2. ライブ配信(生配信)でも適用されますか?
適用されえます。2025年10月の報道では、海外サイトでの生配信で出演者に契約書を交付しなかった疑いが、AV新法違反として書類送検されています(茨城新聞)。録画かライブかは問われていません。
Q3. 何を渡せば「契約書交付」になりますか?
契約事項を記載した書面、または電磁的記録(PDF・メール等)です(第4条第2項)。記載必須項目には、撮影内容・相手方・公表の方法と期間・報酬額と支払時期・配信サイト運営者の情報などが含まれます(第4条第3項。内閣府解説PDF)。
Q4. 「今日撮って今日売る」はダメなのですか?
他人を出演させる場合は、原則できません。書面交付日から1か月間は撮影してはならないという熟慮期間があり(第5条第1項)、交付がなければそもそも撮影できません(第7条第1項)。即撮影・即公開を前提にした共演運用はリスクが高いです。
Q5. 違反するとどうなりますか?
出演者は契約を取り消せます。加えて制作公表者には罰則があり(書面交付義務違反は第21条第2号)、弁護士解説では6月以下の懲役または100万円以下の罰金にあたるとされます(上原総合法律事務所)。法人にも罰金が科されます。
Q6. 完全に一人で撮って自分で売る場合も対象ですか?
他人を出演させるケースとは前提が異なります。AV新法は出演者を制作公表者の加害から守る構造のため、出演者と制作公表者が同一の完全なソロは想定が違います。ただし風営法届出・刑法175条(無修正)・年齢確認などは別途関係します。画面外の協力者がいる等の微妙なケースは、専門家に確認してください。
Q7. AV新法は2026年8月に改悪されるのですか?
本記事の論点とは別ですが、8月の改悪を裏付ける公式発表は確認できていません。噂の真偽と「次の収益源」については AV新法で「もう稼げない」?|噂の真相と次の収益源 で詳しく解説しています。
まとめ
- AV新法の契約書交付義務は「制作公表者」にかかり、会社か個人かを問わない
- 判断の分かれ目は「メーカーか個人か」ではなく「自分以外の出演者がいるか」
- 共演・ハメ撮り・他者出演・生配信でも、契約書未交付は摘発対象(2025〜2026年に実例)
- 個人が負いうる義務は5つ(作品ごと契約/書面化/必須記載8項目/1か月熟慮/速やかな交付)
- 違反は刑事罰(懲役・罰金、法人両罰)。「録画AV」「大手」だけの話ではない
- 完全ソロ自撮りは前提が異なるが、風営法届出・刑法175条・年齢確認は別途関係する
- 他人が関わる映像を扱うなら、契約・書面・年齢確認を前提に設計し、迷えば撮影前に専門家へ
SMFans Media では引き続き、AV新法・決済規制・各プラットフォームの規約改定など、クリエイターの収益と法的リスクに直結する論点を、一次情報に基づいて取り上げていきます。
参考リンク(公式情報源)
報道資料・専門家解説
- 契約書交付せず、生配信 AV新法違反疑い 動画配信会社の男2人書類送検 茨城県警で初摘発(2025/10/1)— 茨城新聞
- AV出演女性の報酬「10万〜20万円」…契約書交付しなかった疑いの男、4000万円売り上げ(2026/5)— 読売新聞
- AV新法違反の疑いで男逮捕 神奈川で初適用 出演女性に書面など交付せず — 神奈川新聞
- AV出演被害防止・救済法違反(契約書不交付)で初めての有罪判決(2023/9)— 企業法務ナビ
- AV新法とは?主要な規制や罰則規定等を元検事の弁護士が解説 — 上原総合法律事務所
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